コンテンツマーケティング好きが良質なコンテンツマーケを紹介するよ! そしておいこらそれを続けろよ、という話。
コンテンツマーケティングが好きです。
自社ブログをはじめ、ナレッジやHow toを公開することで、自社サービスの認知向上やブランドイメージの形成を目指すものが好きで、ぼくはそういうものを「コンテンツマーケティング」と呼んでいます。
そしてもうひとつ、良いなあと感じるコンテンツマーケティングでいいなあと思う共通点があります。それは
「自分の言葉で話していること」です。
わかる… わかるんだよ…
企業として文章を書くってことは制約条件もいろいろあるだろうし、当たり障りないことを書いてしまいがち・・
しかし!!!それではもはやコンテンツマーケティングをする意味がないっっっ!!!!!
「ああこれ、社内OKが出るギリギリのらいんこれやったんやろうな」ってことが伝わるCM、おもろいか!?!?!?
そんな社内の軋轢を伝えてくるんじゃないよ!!!
そう、おもしろいコンテンツマーケティングをしている企業は「社員のクリエイティブを信頼している」ことがわかるから好き、というのもあります。
それではぼくが良いなあと思うコンテンツマーケティングをご紹介します。
株式会社LIG
いわずと知れたコンテンツマーケティングの雄。
スタートアップ、もしくは技術系の会社においてコンテンツマーケティングが強力な手段になると証明した会社です。
たとえばこういった、実用的なHow to・・
liginc.co.jpPR企画・アイデアの提案に活用できるプロモーションの事例が豊富なデータベースサイト6選
liginc.co.jp企画書・提案書の書き方を学べる他社事例やテンプレートがあるWebサイトまとめ
(LIGブログがなければ学生だったぼくがデザインの仕事で小銭稼ぎなんて絶対にできませんでしたありがとうございます…)
自社の実績や福利厚生をコンテンツとして紹介できたり・・
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そして社長のゴウさんのときどきあがるチームの話がいいんだよこれが・・。この記事ほんと好き。
liginc.co.jp万年赤字の宿を3年で見事に立て直したある男の話。ゲストハウスLAMP3周年に寄せて
いわゆる「スター社員」的な存在を一般化させたのもLIG。
ブログがバズったことをきっかけに独立された方も枚挙にいとまがないんじゃないんでしょうか。
さえりさん
そめひこさん
パンと日用品の店 わざわざ
はい、わざわざさんです。
昨年、突如として注目を浴びた個人ECサイトの雄。もはや個人ではないですね。
売り上げが1億円突破、2店舗目のオープンなど、経営的な側面からも注目を集められていますね。
▲ 去年のシュトーレンはわざわざのものをチョイス。美味しかったなあ・・
わざわざ店主の平田さんという方が書かれているのですが、特徴は「ここまでオープンにする?」とこちらが少し心配してしまうぐらいの徹底した透明コンテンツ。
山の上のパン屋に人が集まるわけ
この記事、めちゃくちゃ話題になりなんだこれは!?と思ったら
NHKで取材を受けられた直後のこの記事が立て続けにスマッシュヒット。
来ないでください。
「わざわざの人事制度をぜんぶ見せます」も見せすぎ&共感集まりすぎててヤバかった。一時期ぼくのTL、わざわざに関してを見ない日なかったですもんね。
連載は主にnoteとcakesで。
わざわざ平田さんは「別にコンテンツマーケティングとかやってるわけじゃねーし」という印象です。
「人生に文章を書くことが必要だから」という理由で書かれているんじゃないか、って気がする。もはや共感を超えた何か、です。畏怖に近い感情を持っています。
わざわざでは常に導線を意識して行動をしています。
例えばおいしいものがスーパーに置いてあったとしても、それがおいしいという事実だけで売れることはありません。おいしいことは買わないとわからないので、まず手にとって選んでもらうための行動をしなければなりません。
パッケージを変えたり、ポップを作ったり、毎日SNSを更新して
みなさんにこれはおいしいですよ!これはこんなに素晴らしいんですよ!私たちはこんな取り組みをしていますと、情報発信し、お店でお客様に伝えていく活動を導線と呼んでいます。
それを常に意識しないと、売れるものも売れないというのがわざわざの基本スタンスです。
なぜイベントは失敗したのか?
こういう「おいおい、それ曝け出しちゃっていいの・・?」という文章に山ほど出会えます。
「おら、ちょっとコンテンツマーケやってみろよ」と言いながらいろんな忖度を強要する皆さん、見習ってどうぞ。
Scope
ECサイトのコンテンツ、ということで続けてScopeさんです。
北欧大好きさんからは絶大な人気を誇るScopeですが、特徴は「商品紹介の記事そのものが読み物としておもしろい」ということですよね。
おそらくこちらもマーケティングと思っていないのかもしれません。が、「コンテンツが購入理由になっている」という点で、お手本のようなコンテンツマーケティングかと。
生産の背景がさらっと学べるということもScopeの特徴。
SCOPE / 4040 テーブル
そして… なんていうんだろう… 商品への愛っていうの?
べた褒めはしていない!けれど、ほんとにいいものに見えてくる。個性を語っている。家族を話すときって、こんな口調になるんじゃないかなあと思わせるような語り口。
KAY BOJESEN DENMARK / Monkey
そしてひそかに思うScopeのすごさ、メルマガの編集。
写真もないメルマガなんですけど、文字だけの魅力でクリックしちゃうのすごい。
ひとつの配信で少なくとも3回はクリックしちゃうんですがCV率どないなってるんでしょうね・・
ぜひ、こちらから。
結婚物語。
「兵庫県高砂市、JR宝殿駅前、結婚物語。仲人Tです。」の書き出しからはじまる抱腹絶倒ブログ。すっごい愛がある!
Tさん、めちゃくちゃすごい人なんだろうなあと伝わる記事の数々です。
「なるほど結婚紹介所ビジネスっつーのはこういうものなのか・・」と少し理解できる気持ちになる内容から・・
会員の申し込みを手元で止める仲人(相談所の裏事情編)
「婚活とはなんぞや」の真理を書くその筆舌は「もっと向いてる仕事あるんじゃない!?」の気持ちが去来した後に、一周回って「いやこれが天職ってやつか・・!」と思いなおすわけですが、もはやこれって哲学なんじゃないかとすら感じさせます。
お見合い初回とアプリ初デートは殺られる前に殺れ(男性編)
お見合いとアプリ初デートでは殺られる前に殺れ(女性編)
でもなにより、会員さまへの愛がすっごいんだよなあ。
こんな記事読んだらそりゃ入会したくなるって。
当社の女性会員様(43歳)のお見合い相手を募集します
それにしてもTさんの引き出しの多さはすごくて、そのうえ切れ味抜群、
そして関係各所への配慮も絶対に忘れない。いやあ、なんていうんでしょう「弟子入りしたい…っ!」って思うんですよ。仕事ができるんでしょうね。
Tさん、神戸在住社会人2年目男性です!自分や自分の生活を好きでいられるためのモノを売るtoCの会社で働いています!いい会社です!ぼくは背は低いですが時々男前と言われます!!ぜひなにかご一緒させていただける機会に恵まれればうれしいなあと勝手に思っています。あるいは弟子入りでも!
Goodpacth
今回のブログを書こうと思ったそもそものきっかけは、この会社のコンテンツマーケティングにドハマりしてて、先日「ウチのコンテンツマーケこうやってできてんでー」というツイートを社長がされており、いたく感銘しまして。
「よっしゃちょっとメモ書き程度に書いとくか・・」
程度の軽い気持ちだったんですね。
ほんでいざ書き始めたらですね… 書ける書ける…っ
ああぼく、コンテンツマーケティングが好きなんだなあと。
ということで、Goodpacthさんです。
Goodpacth、「UXデザイン」というサービスを利用するお客さまの体験を様々なパートナーともに考え、つくっていくという事業をされています。
その事業のつくりかたが「まずは良いチームをつくろう」ということからはじめられており、「良いチームをつくるためにわたしたちがやっていること」を丁寧に公開されている記事を見て「これはすごい企業だ・・!」と思ったことがきっかけでした。
これはブログではなく事例なんだけれど、すごいよ。
ぼくはそもそもUXに興味があった、商品ってのは要素のひとつで
大事なのはお客さまの「サービスを利用する全体的な体験」ですよねと思っている、しかしそれに伴う知識はないという人間でしたのでGoodpacthさんのブログは
「UXとはなんぞや、体験ってどないしてデザインするんじゃい」
ということを学べる貴重な内容でした。
ユーザー中心のサービスデザインを体験できる!Goodpatchのデザインプロセスワークショップとは
サービス開発・改善に欠かせない、ユーザビリティテストのやり方【準備〜実施〜分析まで】
最高のデザインを実現するために、絶対に避けては通れない組織のこともたくさん書かれている。
最高のチームの一員になる、入社式のエクスペリエンスデザイン
更新されてたら見ちゃうやつ
ほかにも電通さんがされている電通報はさすがのクオリティですし、
パーソルキャリアさんがされている『未来を変えるプロジェクト』は妥協している記事が少なく本質的、すごくおもしろい。
(なお最近の記事は少し薄いので心配している)
「北欧、暮らしの道具店」さんは、メルマガやSNSはじめ、発信される情報すべてがクオリティが高く熱量高いファンは絶対に発信されるコンテンツから褒めはじめる印象です。
あ、コンテンツマーケティングが好きって気持ちのスタートはほぼ日からかも。
ああ、奥深きコンテンツマーケティングの世界・・
そしておいこらそれを続けろよ
このように、自社のサービスを「価値観と共に伝える」ことが魅力のコンテンツマーケティングですが、各社この世界観をつくり、定期的かつ継続的に発信できるような体制をつくるためには、さまざまな努力が重ねられています。
先ほど少し話に出たのですが、Goodpacth社長の土屋さんが「コンテンツマーケティングをやるために」
という連続ツイートをされており、その内容にいたく感動したんですね。こちらになります。
うちは創業2年目からオウンドメディアをやっていて、初期の認知を作ったのはMEMOPATCHだった。しかも、別にライターを雇っていたわけではなく、コンテンツを書いていたのはインターンやアルバイト。あの時代にUIとかUXのコンテンツを書けるライターはいなかったので
— Nao Tsuchiya / Goodpatch (@tsuchinao83) April 8, 2019
https://twitter.com/tsuchinao83/status/1115052446101921793
”
うちは創業2年目からオウンドメディアをやっていて、初期の認知を作ったのはMEMOPATCHだった。しかも、別にライターを雇っていたわけではなく、コンテンツを書いていたのはインターンやアルバイト。あの時代にUIとかUXのコンテンツを書けるライターはいなかったので重要なのは社内でコンテンツのクオリティーをジャッジできる人材がいるかどうか。マーケットでニーズのある、面白いと思われる記事かどうか。初期は当然自分がやっていたし、2,30人くらいになってきたらメンバーがフィードバックを出す体制になっていた
それでも、50〜100人の急成長フェーズでコンテンツを出す体制が崩れてMEMOPATCHをあまり更新できなくなってしまった時もあり、コンテンツマーケティングの経験者を外部から採用してオウンドメディアをやろうとしたけど、全然うまくいかなかった。
戦略ができていないから出せないとか、コンテンツが溜まっていないから出せないとかでオウンドメディア立ち上げるだけで10ヶ月掛かるという状況になっていた。あの時はマネジメントができていない時期だったなぁ。その後、俺管轄でやり直すと言って巻取り、今の経営企画室チームで1ヶ月ほどでMEMOPATCHをGoodpatch Blogにリニューアルしたのが2年前。
Goodpatch Blogの立ち上げもコンテンツ側は俺と@haaaaaaco とインターンのみで立ち上げた。そこから社内でもコンテンツを作る体制にしていき、この2年でGoodpatch BlogはGoodpatchのブランドを構成する非常に重要なツールとなっている。重要なのは社内でコンテンツを生み出せるチームを作れること
コンテンツマーケティングの経験者を採用しても、マッチするかわからないし、やはりどんなコンテンツが顧客層に刺さるか事業トップが自らジャッジできるようになっていないといけないと思うなー。
インターン達とコンテンツ企画会議でネタを考えている時間がとても楽しかったのだが、今の経営企画室長が入社してきた時に100人を超えた規模の社長がインターン達とブログネタをキャッキャ言いながらディスカッションしている構図を見てヤバイと思ったらしいw
オウンドメディアも結局やり続ける事ができる会社が少ないのでやり続けるだけで、資産になる。もうコツコツ続けるしかないんだよね。コンテンツ発信を続けるだけでも、必ず見てくれる人がいるし、想いや信念が乗ったコンテンツは将来何かに繋がったりする。種を巻き続けるのは大事。
”
まとめると・・・
- 続けよう
- そもそも事業に差別性があることは前提
- とりあえず愚直に続けよう
- 社内でコンテンツ目線をもって「これ、おもろいか」をジャッジできる人材は必要
- コンテンツを発信し続けられる体制が必要(できれば経営判断で必要性が確認されていてほしい)
- おいこら続けろ、続けろっつてんだろ
ということになりますね。個人的な所感としては
1.)「よっしゃコンテンツマーケはじめっぞ!」と言ってみたはいいものの
2.)サービスの差別性にまで突っ込んだ記事がなかなか書けず(もしくは忖度が働き書くことが許されず)
3.)当然の帰結としてPVも伸びずに
4.)「だから意味ないって言ったっしょ」の一言に屈する
みたいなイメージが強くあります。
そんな背景が想像できる自分の会社の最終更新が数年前のURLを見ると本当に悲しくなるよね…。(小声)
ということで、ぼくはコンテンツマーケティングがとても好きです。
商品への感動はもちろんとして、サービスの裏にある価値観にふれることができると、その会社のことを好きになる確率はグッと上がります。
そして「愛着を持ってもらう」というのは、コモディティ化する消費社会において、最強のマーケティングだと思っています。
いろんな困難があるとは思いますが、ぼく自身、ぜひいつかチャレンジしてみたいなあ、と。
それでは今回はこの辺で。
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